止呂峡目次
四国地方は瀬戸内海と太平洋2つの海に囲まれているため、四国は海に関わる観光地が多く存在しています。ですが、四国島内には海はもちろん東西に渡って「四国山地」が連なっているのも一つの特徴です。
そこで今回は、四国の海ではなく、山間部にある観光地である「止呂峡」についてご紹介させていただきます。恐らく「止呂峡」と聞いてもピンとくる人はごくわずかではないかと思います。いや、四国島外の方々は名前も存在も聞いたことがないことでしょう。では西条市の説明を少々と「止呂峡」の概要について書いていきますよ。
「止呂峡」は愛媛県西条市にあります。西条市は、愛媛県内でもやや東側に位置し、東側は新居浜市、西側は今治市と瀬戸内海側でも大きな市に挟まれています。
また南側には四国山地を挟んだ先に高知県高岡郡いの町、本川村があり、高知県側から見ると、西条市は瀬戸内海の玄関口でもあります。道路地図を見てもらうとわかりやすいですが、高知県高岡郡いの町と愛媛県西条市を繋ぐ国道194号線が四国山地を南北に貫いています。寒風山という山が高知県と愛媛県の境になります。
なぜ道路の話を混ぜたのかというと、「止呂峡」がある場所が国道194号線沿いにあるからです。愛媛県の観光地といえば「下灘駅」や「しまなみ海道」のような海のイメージが強いですが、「止呂峡」に関しては山間部に位置しているため「四国=海」のイメージとは離れるため、新たな四国地方の良さが見れる場所です。
さて、本題である「止呂峡」についてご説明していきます。止呂峡は、西条市内を流れる加茂川の上流部に位置する渓谷で、四国山地を象徴する険しい崖と青く透き通った水質が綺麗な川で、周りには一面緑が広がる山々と都会で味わうことができない自然を堪能できる穴場観光地です。
特に川の透明度は、川底まで見えるぐらいの美しさで、一度見たら「綺麗」と思わず口にしてしまうほどです。
峡と言われる場所のため、近くに景色を眺めることが可能な橋があるのか?と思いますが、もちろんあります。渓谷の景色を眺めるスポットとして、吊り橋から望むことになります。吊り橋と言われると「揺れる」というイメージが強いと思いますが、安定した橋で足元も悪く無いため、観光が楽しみやすい場所です。
橋の手前には大きな岩が左右にあり、囲まれている感じが鎌倉時代によくあった切り通しに似ています。そこから目と鼻の先には吊り橋があり、突如として視界が広くなった途端、四国の山々が醸し出す落ち着いた雰囲気を感じながら景色を楽しむことができます。
橋も高台に位置しているため、目の前に流れる加茂川の流れや、付近の笹ヶ峰と呼ばれる山の景色を望むことができて、四国山地の自然を体感することができます。
高いところが苦手な方には、ぜひ低い位置から川や山々を楽しんでいただきたいと言いたいところですが、低地に行ける道が存在しないため、お楽しみいただけないかもしれません。そんな方には、橋から眺めるのではなく、国道194号線沿いから加茂川を楽しむことができます。
「青い川の流れが見たい」「綺麗な写真を撮りたい」と思われる方は、吊り橋の方でお楽しみいただけるでしょう。必ずしも橋から楽しむだけではなく、道路沿いからも楽しめる部分が、また四国らしい風景なのかもしれません。色んな楽しみ方ができます。
止呂峡の近くには「笹ヶ峰」という四国山地の中でも大きな山があり、石鎚国定公園の一部で、「石鎚山」「瓶が森」と並ぶ伊予の三名山の一角を担っています。
そのためか、観光客よりも登山客が多くいる傾向にあります。少し話を逸らすと「石鎚山」は西日本最大級の大きさを誇る山で、某旅番組で芸能人が登山をしていたり、メディアに取り上げられる機会が多くあります。
「瓶が森」はUFOラインと呼ばれる「天空の道」としてドライブ・ツーリングスポットとして、旅行系YouTuberやモトブログ等で見かけることが多くあります。
伊予の三名山の中で、2つの山は認知度がそれなりに高く、取り上げられることが多い中「笹ヶ峰」は目立ったものが無いイメージでありますが、登山口である止呂峡、橋、そして渓谷と隠れスポットが点在することがわかります。
地図上で付近を調べてみると、画面全体が緑色になり、特にこれと言った観光地は無いです。ですが、季節によって「キャンプ場」だったり、イベント等も行われているようなので、止呂峡オンリーで楽しむだけでなく、周辺も同時に楽しむ観光がおすすめです。
止呂峡を訪れる際に注意したいのは、駐車場が無いところに注意して下さい。四国地方の観光地には広い駐車場があって、無料といったところが多いが、ここは国道付近にある景勝地であるはずにも、車やバイクを駐車させられないため、事前に調べて行って下さい。停める場所は、アクセスのところで書きます。
四国旅行をする際、何らかの観光雑誌やインターネットで情報を得てから観光をすると思いますが、この止呂峡はそういった情報が少なく、知名度も高くないので、知る人ぞ知る秘境スポットとなります。付近の山や観光地、道路は様々なメディアで取り上げられていますが、あまり認知されてされていない穴場スポットのため、知る人ぞ知る観光地となります。四国島内あるいは愛媛県内の観光で知っていたら、誰かに教えたくなる秘境スポット、インスタ映えも間違い無しの場所です。
止呂峡の見どころと言ったら、加茂川の美しい水質や四国山地の景色です。もちろん渓谷というものだからこそ、自然の景色が一番の見どころでは無いかと思います。季節によって山々の映し出す姿は大きく変わり、中でも10~11月にかけての紅葉のシーズンが最も美しいと言われています。
夏までは一面緑だった色が、涼しくなっていくにつれて、葉が緑から赤に変化していき、秋になると緑と赤付いた四国山地を望むことができます。この景色が止呂峡だけでなく、付近の笹ヶ峰や石鎚国定公園に指定されている山も同時に秋を感じさせる風景に変わっていくので、見応えは凄くあると思います。
また別な季節で言うと、春から夏にかけて、葉が濃い緑に変化していき、6月を迎える頃には夏の山へと変わります。同時期には、生息する虫たちが季節の訪れと共に顔を出してきます。
また季節の植物も四季によって顔を出す種類が異なりますので、観察してみるのも一つの楽しみ方になるのではないかと思います。特に夏場の観光で気を付けたいのが、虫対策です。
自然が豊かなところであるため、蜂や毒を持った虫が発生する可能性があります。実際に筆者も散策中に虫対策をして観光をしていました。なので観光や散策、ハイキング等行う際は、注意して下さい。
秋から冬にかけて気温が一気に低くなるので、紅葉で咲いていた葉は、寒くなっていくのにつれて地面に落ちてしまいます。1~3月になると雪が降ります。
四国地方で雪なんて降るの?と思われる方が多いと思います。四国と言ったら一年中あついイメージがあるため、雪とは無縁と思われがちですが、実は止呂峡付近は標高が高い場所に位置するため、雪が積もります。
付近を通る国道194号線も、雪の影響で路面凍結や気温低下での路面に対する警告の看板や表示があったりします。寒い冬の季節の止呂峡はどんな風景になるのか?というと、加茂川の水が凍結する光景を目にすることができます。
降雪時には山が一面白くなり、雪の結晶が綺麗に見えます。そして冬が終わり、春に近づくと気温は低いままですが、加茂川の雪解け水が流れ出し、春になっていくサイクルになっていきます。
他の見どころとしては、吊り橋になります。四季によって風景が変わるのももちろんですが、素晴らしい自然を高台から見下ろせる吊り橋がまた止呂峡の良さを引き出してくれます。
付近で低いところから渓谷を見られるスポットはございませんが、高い位置にある吊り橋のほうが、全体が広角に望めるので、より自然を感じることが出来る絶景スポットであるのは間違いありません。
~乗用車・バイク~
自家用車やバイクと使って「止呂峡」に行く場合、国道194号線を通って行かなければ着くことができません。迂回路も無く、ひたすら山道を通ることになります。まさに90年代に流行った某車マンガで出てくるような道です。
以下に、自家用車やバイクで行く際、四国4都市を基準にルート・所要時間を記して行きます。
①松山市内から
松山市内の中心部からは、松山自動車道「松山インター」→「いよ西条インター」で降りて、国道11、194号線を通って到着します。
②高松市内から
高松市内の中心部からは、高松自動車道「高松中央インター」→「いよ西条インター」で降りて、国道11、194号線を通って到着します。
③徳島市内から
徳島市内の中心部からは、徳島自動車道「徳島インター」→「川之江東ジャンクション」→「いよ西条インター」で降りて、国道11、194号線を通って到着します。
④高知市内から
高知市内の中心部から一般道を使用する際は、国道33、194号線を通って到着します。
車で止呂峡に行く方法です。西条市内から行く際、国道194号線を高知方面に向かって走り続けた先に、あります。中でも国道194号線は、西条市街地から離れると、山間部に差し掛かるため、所々道が悪い部分があるので、気をつけて運転することをおすすめします。
特に高知市内から国道33、194号線のルートで行く場合は、いの町から山道に入るため、険しいカーブがあれば、落石等の危険性、山道でスピードを出すドライバーに注意しながら運転する必要があります。※車やバイクで行く際、駐車場が付近に無いので、気を付ける必要があります。
駐車する場所としては、止呂峡付近にちょっとしたスペースがあるので、そちらに停める必要があります。観光地のように広い駐車場が無いので、付近には十分ご注意ください。
~鉄道~
鉄道で止呂峡へ行くには、JR予讃線「伊予西条」が最寄り駅になり、列車から下車後、バスで40分の所要時間が必要です。以下には、四国4県の中心駅から「伊予西条」駅までの乗車する列車と所要時間を書かせていただきます。
・高松駅から特急「いしづち」に乗車。(1時間25分)
・松山駅から特急「しおかぜ」「いしづち」(57分)
・徳島駅から特急「うずしお」に乗車し、途中の高松駅で特急「いしづち」に乗り換え(3時間2分)
高知駅から特急「南風」に乗車し、途中の多度津駅で特急「しおかぜ」「いしづち」に乗り換え (2時間56分)
高松・松山駅から伊予西条駅までは、乗り換えの必要はありませんが、徳島・高知駅からのアクセスは、乗り換えが必要で、所要時間も3時間近くかかるため、下車後のバスの時間も含めると、相当な時間を要することになります。
また最寄りの伊予西条駅は、予讃線を走る全ての特急列車・普通列車が止まる駅で、四国地方の中でも列車の本数は非常に多いです。ただ多いとはいえ、都会の本数と比べてしまうと少ないので、観光する前に列車の時間は確認してから、ご旅行することが良いでしょう。